メッセージ / Message

Society for Visual Communication Researchは、若者たちが芸術教育を修め、その後も作品制作を続け ていくために共に学び合う会として発足しました。2011 年から 展覧会を運営し、本展は茨城県つくば美術館において第5回の開 催となります。

ヴィジュアル・コミュニケーション展 2017 “in between” は、日本(本会の参加者14名)と、アメリカ(1名)、 オランダ(デュオ1組)、コロンビア(1名)、フランス(1名) の19名による共同展です。フランス在住の日本人作家 石橋英 之と菊田真奈が、空間構成とキュレーションを行います。サブ タイトルは、彼ら二人が提案した仮題をもとに日本人出展者と 共に検討し “in between”と決定して、参加作家各人が活動する場 の文化や社会、個人の背景から生まれた、それぞれの「いま、 ここで」のイメージによって構成されています。

芸術活動は、制作や鑑賞、組織運営などを通して自らを形成す る営みでありますが、それはまた、自己の周りの他者、社会的 または文化的な風景を理解し再構築していく活動であり、社会 的ネットワークを繋ぐものとも言えるでしょう。このような芸 術におけるダイナミックスから、皆様との共創の場が築かれて いけば幸いです。

Society for Visual Communication Research 田嵜裕季子

 

私たちは現在、映像飽和状態に直面しています。連日連夜、あ らゆる人々に液晶画面を通し囲まれ、ソーシャルネットワーク 上で「私」をシェアし、あらゆるものは写真へ、写真さえも写 真へと置き換えられ、拡散され同属化されます。この流れの中 で再度、個人の視点を客観視すること、一人一人の繋がりの揺 らぎにこそ “in between” があると知ること。どのような領域 であっても、境界は線でなく面であること。この展示で、あら ゆる人々との繋がりの中からその理解を少しでも深めることが できればと、表現者の一人として私は願います。

キュレーション 石橋 英之

 

日本からフランスに移り生活を始めたことで、これまで自分 が置かれていた社会的枠 組みの存在に気づかされることがあ りました。これまで見えていなかった枠組みに気づき、新たな 枠組みの中に身を置くことは、戸惑いもありましたが、豊かな 経験でした。 そういった個人的な経験や多様性を増す現在の社 会状況から、世界を分断する「見えない壁」について参加作家 や鑑賞者の皆さんと共に考える場を作っていきたいと思い、今 回のテーマを “in between”としました。ジャンリュック・ナンシ ーは、他性の境界 が、特異性と特異性それ自身との間にある、 と語ります。19人の参加アーティストの視点から提示される “in between” を通して、二元論では語れない現代に共に生きるこ とに ついて考える機会になれば幸いです。

キュレーション 菊田 真奈